こんにちは。今日はペット可物件について“既存入居者視点”でお話したいと思います。
以前のコラムでもお話しましたが、ペット可物件とは、犬、またはネコなど、小動物の飼育が許可されている賃貸アパート・マンションを意味します。
新築時からペット可として入居者を募集しているケースもあれば、ある程度の年数を経て、ペット飼育可能に変わるパターンもあります。後者の場合、大半がオーナーチェンジのときに切り替わります。要するに、建物の大家さん(所有者)が変わるタイミングです。
では、なぜペットOKにするのか――理由は簡単で、入居者を集めたいからです。大家さんからすると、多くの入居者を集めたほうが家賃収入をたくさん得られるわけですから、入居ターゲットを広げることは、入居率の向上につながり、”儲けられる”わけです。
ペットに好意的でない入居者にも配慮を
そこで気になるのが、これまでペット禁止として住んできた「入居者が抱く感情」です。当社の管理物件も、ペット可物件に切り替わるケースは珍しくありません。その際に、既存の入居者様から問い合わせをいただくこともあります。
よくあるのが「ペット可じゃなかったから住んでいたのに・・・」というご意見です。件数としてはそれほど多くありませんが、我々管理会社に申さないだけで、こうした感情を抱いている入居者は、一定数いるのかもしれないですね。
もちろん管理会社として、これまで住んでいただいている入居者さんに快適な暮らしを提供すべく、ペット可になったことでの不利益を最大限抑える努力はします。
そのため「ペット可物件とは言え、好意的に思っていない他の入居者もいる」という事実は頭に入れておいてほしいですね。集合住宅は、様々な人が集う住まいです。他者への配慮が、より良い住環境の実現につながります。
どうしてもペットを飼っていると「うちの子は可愛いから、あなたも可愛いと思うでしょう?」「人を嚙まない、吠えないお利口さんなの」と盲目的になってしまいがちですが、小さな犬やネコでも苦手な人、恐怖心を抱く人もいることをしっかりと自覚することが、飼い主のマナーであり、集合住宅に住む上で重要なポイントといえます。
飼い主の意識向上、マナー向上は、さらなるペット可物件の拡大にもつながるはずです。事実、ペット可物件は増えてきました。昔は建物や部屋が傷むからと大家さんから敬遠されてきた側面もありますが、共用部もお部屋も、大変きれいに利用される飼い主さんが増えたことが大きな要因だと感じています。
最近はペット礼金がかからない物件も徐々に出てきました。他者に配慮できる、自分と異なる感性を認められる飼い主が増えれば、ペットと暮らせるお部屋はさらに増えていくことでしょう。
【筆者紹介】
津田 芳典(つだ・よしのり)
1980年札幌市生まれ。大手不動産賃貸会社で7年間勤務後、不動産管理会社に転職。11年不動産管理会社を設立。24年に会社売却し、第二の人生として新たなスタートを切る。愛犬4匹(トイプードル、チワワ)と暮らす。