骨が散乱…猫の繁殖力の凄まじさ
3月末に札幌市北区で発覚した、猫の超多頭飼育崩壊。50代の夫婦が住む一軒家には、238匹の猫がいた。現場へレスキューに入ったボランティアは「家庭内野良(猫)状態」、「これまでにないほど、劣悪な状況だった」と漏らす。
関係者によると、夫婦は家賃滞納が続き、大家によって猫の多頭飼育が発覚。「猫を手放したくない」という飼い主に、札幌市が介入することになった。
猫の繁殖能力は凄まじく、最大、年に4度出産するケースもある。犬と違い、交配するとほぼ100%の確率で妊娠。平均4~5匹を出産する。
さらに、出産した子猫が離乳する時期には、再び次の妊娠が可能になる。その子猫も生後6カ月前後になれば、繁殖できる身体になるのだ。
経済的困窮や、「可哀想だから」という理由で避妊去勢手術をおこなわず、あっという間に猫が増えてしまった、という例は少なくない。上記の夫婦も同様で、一軒家の二階には、猫の骨が大量に散乱していたという。
猫たちは保護団体協力のもと、数十匹ずつが市内の動物管理センターへ運ばれた。3月31日、猫を引き取るため、センターを訪れた保護団体「Dear Life」に同行した。
保護から里親募集、譲渡するまで
センターに運ばれた同案件の猫たちは、白猫やハチワレ(白と黒のバイカラー)が多く、数匹ずつがケージの隅で身体を寄せ合っていた。この日いたのは、避妊手術を終えたばかりの雌猫たち。
Dear Lifeの中心メンバー・佐藤さんは「猫たちの状態はそんなに悪くないようだけど、臭いの強さから、衛生状況が悪かったのを感じる」と話した。
Dear Lifeは基本的に、犬を中心に保護する団体。しかし、猫の多頭飼育崩壊が起きた際には、佐藤さんらも着手する。
この日、佐藤さんがセンターから引き出すことを決めたのは、真っ白な雌猫。3月31日に出会ったことから「ミミイ」と命名した(写真)。
センターを後にした佐藤さんらは、次に「西野アニマルクリニック」へ向かい、ミミイにメディカルチェックを施した。
大人しく院長の山田裕一さんに身体を触らせるミミイ。エイズや白血病キャリアであれば、他の猫に伝染してしまうが、ミミイはどれも陰性と判明した。
ミミイは数週間を佐藤さん宅で過ごしたあと、4月中旬、縁があった里親のもとへ引き取られた。
「ミミイは里親さんのおうちで、大切にされています。いまでは先住猫のごはんを食べようとするほど、食いしん坊だそうです」(佐藤さん)
Dear Lifeではその後、4匹をセンターから引き出し、1匹が里親のもとで暮らしている。残る3匹の優名(ゆうな)、蘭、鈴は、5月末現在、まだ行く先が決まっていないという。下記は佐藤さんによる、3匹の紹介。
優名(♀・推定2歳)
以前はビビり過ぎて、掴まえるとオシッコを漏らし、ガブッと噛み付いた優名。
いまもビビりな性格ですが、なでることはできるし、噛まなくなりました。
蘭(♀・推定2歳)
スリスリ、ゴロゴロの甘えん坊。
ガリガリで骨が浮いていたけれど、少しふっくらしてきました。
鈴(♀・推定2歳)
他の猫とも仲良しになれる性格。
なかなか個性的なお顔です。綺麗なブルーの瞳がチャーミング。
保護団体の叫び「必ず避妊去勢を」
佐藤さんは保護活動を通して感じることを、下記のように語る。
「多頭飼育崩壊が起きる度に、飼い主のモラルや知識の低さに悲しくなります。避妊去勢さえしていれば、簡単に防げることです。飼育崩壊したくなければ、必ず手術をしてほしい」
「Dear Lifeは、他の保護団体さんとは少しタイプが違うかもしれません。保護して譲渡するのが目的ではなく、保護される子をゼロにしたい。犬も猫も大切な命です。看取ることが飼い主の義務であり、責任。それを多くの方に伝えるべく、活動しています。現金の寄付は受け付けず、自分たちの力で頑張っています。ときには迷子の捜索も必死に取り組みます。
シェルターではなく、ボランティアメンバーが自宅で一緒に生活をしながら、犬や猫に社会性やマナーを教え、愛情を与えています。
『なぜ、自分の犬や猫じゃないのに、医療費や飼育費を出すの?もったいない!』と言われることもあります。でもDear Lifeのメンバーは、価値観が少し違うのです。ブランドのバックを買うより、犬や猫の命を繋ぐほうが、私たちにはずっと意味のあること。どんな命であれ、守ってあげたい。自己犠牲もいとわないDear Lifeのメンバーは、犬猫好きな変態の集まりかもしれません(笑)」
現在も上記3匹の猫を含め、子猫から多数の小型犬を抱えているDear Life。佐藤さんは、片手でできる「支援」を呼びかける。
「お気持ちを寄せてくださる方は、FacebookでDear Lifeをフォローし、里親募集投稿をシェアしてください。シェアの先に、里親さんへのご縁が繋がっている可能性があります。
時折、幸せになった元保護っこたちの写真も投稿しています。里親さんから送られてくる写真を見るたび、泣きそうになります。幸せな気持ちをもらえるのが、保護活動の答えです」
「Dear Life」Facebook
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