「ペットと賃貸」第12回目のコラムとなります。本日もよろしくお願いいたします。

もうすぐ新年度ーー。
ということは、お引越しされる方や環境の変わる方も多いのではないでしょうか。春先には新たな命も誕生しやすいため、ペットを迎える方が増える時期でもあります。

今回は、ペットを飼っている人と飼っていない人との温度差についてを、中立的な視点からお話したいと思います。

おうちでできるしつけで、騒音対策に

動物に対しての考え方や温度感は、それぞれ異なります。その差が問題として生じやすいのが〝騒音〟。すなわち鳴き声ではないでしょうか。

現代社会では、電車や飛行機の中での赤ちゃんの泣き声に対しても「うるさい」「静かにしてほしい」といった声が上がるなど、賛否両論の意見がでていますね。

犬の鳴き声も赤ちゃんの泣き声とリンクする部分があり、管理会社に対して「犬を静かにしてほしい」「しつけがなっていない」などの声が寄せられることは少なくありません。

この〝うるさい〟には種類があり「一日中、何か物音がする度に吠える」、「主人がいないときに、玄関前に人の気配があれば吠える」、「夜中に目を覚まして吠える」など、さまざまなパターンが存在します。どれも一定数の苦情があります。

これをしつけさせるとは、具体的にどういうことか。犬に対し「うるさい、静かにしなさい」と言えばしつけになるのかというと、答えは否だと思います。吠えるのは動物の本能です。泣かない赤ちゃんがいないように、鳴かない犬も存在しないと考えます。

中には「しつけトレーニングに通わせるなり、対策をしてください」というご指摘をいただくこともありますが、それはペット可賃貸物件に住む上での義務にはなりません。プロにお願いするのは費用のかかるお話しですし、当然、管理会社側からそこまで踏み込んだ依頼をすることもありません。

しかし、我々からの「お願い」として、入居者に「一緒にいる間は無駄吠えがでないよう、ご配慮お願いします」とお伝えすることはできますし、それがバランスをとった対策だと考えています。

実際、目の前で吠え出した犬に対し、真摯に向き合った声がけをすれば、ほとんどの犬は冷静さを取り戻すはずです。

互いに寄り添える環境づくりを

私も愛犬と暮らす前、同じマンションで、毎日同じ時間帯に吠える犬がいました。眠りの妨げにもなっていたため、当時の管理会社に相談をしたところ「その時間帯に犬の主人が帰ってくる」ということがわかり、私の場合は納得しました。

納得とはいうものの、悩まされる事実は変わりません。ほどなくして、私は引っ越しをしました。次に引っ越すときのポイントとして、ペットに関する環境をリサーチしながら部屋探しをしましたが、そのときはクリアになっても、ペット可賃貸マンションであれば、入居後に環境が変わる可能性もあるわけです。

ですから、動物の鳴き声に敏感であったり、悩んだりしやすい方は、環境をよく聞き、さまざまなイメージをした上でジャッジされるのがよいと考えます。

なぜ今回、この「騒音の温度差」についてお話しをしたかというと、私たちが共に暮らすペットは、テレビに出てくるサルや犬のように、人間の言うことをすぐに理解して、空気を読んでくれる……とはなかなかならないわけです。

動物と暮らすということは、そんなにスムーズでないことが大半。だからと言って、しつけ教室に通わせるなど「時間と費用のかかるステップ」を踏めるかと言われたら、全員ではないでしょう。

そうなるとやはり「お互いに寄り添える環境づくり」がなによりも大事だと私は思います。お引越しシーズンですが、ご自身のお住まいや環境において、参考になれば幸いです。

本日もありがとうございました。
新年度も、よろしくお願いいたします!

【筆者紹介】
津田 芳典(つだ・よしのり)

1980年札幌市生まれ。大手不動産賃貸会社で7年間勤務後、不動産管理会社に転職。11年不動産管理会社を設立。24年に会社売却し、第二の人生として新たなスタートを切る。愛犬4匹(トイプードル、チワワ)と暮らす。

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