コロナ禍の巣篭もり需要で、ペットブームが再来。犬や猫の価格が高騰し続ける中、安易な気持ちで迎えてしまう人は後を断ちません。
近年では、20年近く生きることも少なくない犬や猫。彼らを看取るのは、飼い主として最低限の務めです。しかしその一方で「もしも自分が先にいなくなったら……」と、ペットの将来を考えておくことも大切。
万が一のとき、遺されてしまったペットを守るため、ペット信託「アニライフ年金」は生まれました。今回は運営者・尾崎祐一弁護士にインタビューし、同サービスを立ち上げたきっかけや、愛犬への想いを聞きます。
飼い主の孤独死や入院で、行き場を失う命を減らしたい
――「アニライフ年金」を立ち上げたきっかけを教えてください。
尾崎 約30年にわたって弁護士をしておりますが、動物に関する案件はほとんど手がけたことがありませんでした。しかし、約8年前に柴犬のメアリーを迎えてから”もしも私たち夫婦が先に亡くなったら、メアリーはどうなるのだろう”と考えるようになりました。
実際、飼い主がペットより先に亡くなってしまった場合、遺族や身内が引き取ることもありますが、中には「動物アレルギー」や「ペット飼育不可物件」などの理由で、飼育を後継できないケースもあります。
令和元年度、札幌市動物管理センターで、飼い主の孤独死や入院などが理由で保護された犬猫は、439頭にも上ります。非常に胸が痛い数字です。万が一に備えることができれば、行き場のない犬や猫を減らすことができるかもしれないと考えました。
――「ペット信託」とは。
尾崎 簡単に言えば、民事(家族)信託の対象をペットに応用します。言葉通り〝信じて託す〟もので「柔軟な財産管理の運用」や「望む形の相続」を実現。「飼い主と飼育費管理者、そして引き継ぐ飼い主との約束ごと」を法的に守ります。
基本プラン(148,000円)は下記の通りです。
①契約書作成
丁寧にヒアリングし、新たな飼い主の決定、飼育費の確保など、ペットの生活を守る基盤の契約書を作成。完全オーダーメイドで、ペットの一生を守る。
②飼育費専用口座開設
飼育費をほかの財産と分別するため、協力金融機関でアニライフ年金専用の口座を作成。平均余命や持病の有無などをもとに「どれだけ遺したいか」を算出する。先にペットが亡くなった場合には、口座は解約することができ、そのまま飼い主自身の財産として保管できる(契約手数料は返却不可)
③ペットの遺贈手続き
ペットの所有権を新たな飼い主に渡すための遺言書を作成。また、ペットの細やかなプロフィール(好きなおやつや散歩コース、受診している動物病院など)を記す「うちの子ノート」も作成できる。
その他、ペットの飼育や契約が守られているかの弁護士によるチェックなど、オプションも用意されている。
「ペットと自分の将来」を見つめ直す機会に
――「アニライフ年金」を勧めたいのは、どういった方々でしょうか。
尾崎 高齢者や独身の方だけでなく、基本的には、ペットと暮らすすべての方が対象です。新型コロナの蔓延により、若い世代も「死」を意識する機会が増えつつあります。そういった背景も重なり、飼い主からのご相談は増えてきています。
高齢になると、犬や猫との暮らしを諦めざるを得ない方も少なくありません。飼わないこともひとつの愛情ですが、ペットは我々に、生きる活力を与えてくれる存在。子犬や子猫からの飼育は難しくとも、保護犬猫を迎えるという選択肢もあります。その際、もしも後継者がいない場合には、提携している保護施設をご紹介いたします。
「ペット信託」が一般化するのは、まだ先のことかもしれませんが、この機会に一度、ペットとの将来を見つめ直してみませんか。お気軽にお電話ください。
「尾崎祐一法律事務所」
電話/011-376-5715
住所/札幌市南区澄川5条6丁目1-8
HP/https://pet-nenkin.com/