札幌市を拠点に、不幸な犬を保護する「犬のM基金」。主に飼育放棄や多頭飼育崩壊の現場からレスキューした命を、里親に繋いでいます。
同団体から〝保護犬を迎える〟という選択をし〝共に幸せになった〟ご家族をご紹介します。
第一回目は、札幌市在住のSさん宅で暮らす、チワワのたくみくん、律くんが登場です。
犬を飼う=ペットショップだけではない
臆病な性格で、取材中もふるふると震えていた、チワワのたくみくん(♂・推定10歳)。たくみくんは、70匹のチワワ多頭飼育崩壊現場からレスキューされた子でし
た。
Sさんとたくみくんの出会いは、5年前。たまたまホームセンターで開催していた譲渡会に立ち寄り、ふとたくみくんにシンパシーを感じたと言います。
Sさんは当時を振り返り、下記のように話します。
「それまでは犬を飼う=ペットショップという選択肢しか知りませんでした。
先代のミニチュアダックスフントを亡くして落ち込んでいたところ、保護犬の存在を知りました。
先代と犬種は違うのに、なぜかクーちゃん(たくみくんの愛称)がとても気になって。仕草など、何か似ているものがありました。勇気を出して犬のM基金さんに問合せをしてみたら『まだ里親は決まっていない』と。
家族になることを前提に、トライアル飼育に踏み切りました。きっと先代と同じ犬種だったら、辛くて迎えられなかったと思います」
「クーちゃんはとてもマイペース。外出が嫌で、お散歩も病院も苦手です。少しでも喜んでほしくて、自宅にランをつくりましたが、やっぱりひきこもり(笑)。そんなところがまた愛しいです」とSさんは話します。
預かりボランティアから、里親を決意
その後、保護犬を応援するため、犬のM基金の「預かりボランティア」を始めたSさん。
2年前、42匹のパピヨン多頭飼育崩壊現場にいたチワワの律くん(♂・推定8歳)を預かり、里親募集をしました。
「2件ほど問い合わせがありましたが、お見合いは成立せず。そのうちに、主人も私もあまりにも律が可愛くなり、引き取ることを決意しました。律はほとんど手の掛からない、甘えん坊な男の子です」
どんな子でも、あるがままを受け入れたい
先代との別れを経験しながら、現在は2匹の元保護犬と幸せに暮らすSさん。
これから保護犬を迎えようとする方に、メッセージを送ります。
「まっさらな子犬を迎えるよりも難しいのでは…と、かまえる必要はないと思います。〝何が起きても、あるがままのこの子を受け入れよう〟と、どんとした気持ちでいてほしいです。必ずその子にしかない魅力があります。
私たち家族が笑顔になれたように、機会があれば、ぜひ里親募集を覗いてみてください。運命の出会いは、譲渡会にあるかもしれません」