今月の20〜26日には「動物愛護週間」がやってきます。国民に動物愛護と適正な飼養についての理解と関心を深めるために設けられ、道内でもコロナ禍前には、啓発イベントなどが多く行われてきました。

今年は緊急事態宣言下で動物愛護週間を迎えようとしていますが、わんにゃんハートではオンライン上で、動物と人が幸せに共生するためのヒントを発信していきたいと思います。

今回は、道内で不幸な犬を保護する「犬のM基金」出身のチャタローくんと、ななちゃん一家のお話です。同団体では主に、飼育放棄や多頭飼育崩壊からレスキューした犬を里親に繋いでいます。昨冬からは、道東の野犬保護にも尽力されています。

“幸せにしてあげたい“は奢り。幸せをもらっているのは、私たちだった

昨年1月、札幌の福井さん一家にやってきたのは、犬のM基金から迎えた柴犬のチャタロー(画像左・♂・推定6歳)。元々繁殖犬で、家庭犬としての温もりを知らない犬だった。

多頭飼育崩壊現場からチャタローを保護したボランティアスタッフによると「劣悪な環境にいたため、痩せ細って被毛はボサボサ、歯もボロボロ。暗い表情で、いまとは別犬のよう」という。

その隣にいつもピッタリと寄り添うのが、先住犬のなな(画像右・♀・推定11歳)。福井さん一家とななとの出会いも、保護犬譲渡会のサイトだった。

飼い主の福井真美さんは「当時、我が家には“はな“という柴犬がいましたが、血液の病気で亡くなってしまいました。泣き暮らす日々でしたが“次の子を迎えたら、はなが悲しむに違いない“と考え、犬のブログを読んでは気を紛らわせていました。

ある日、偶然目に留まった里親募集サイトに、まだ生後4カ月にも関わらず、とても悲しそうな表情でうつむく柴犬を見つけました。胸が締め付けられ“この子を幸せにするならば、きっとはなも賛成してくれる“と確信しました」と話す。

ななは、元の飼い主が品評会に出すために飼ったものの、サイズオーバーにより飼育放棄されていた。実際、一般的な柴犬よりも大柄ではあったが、大きいのは身体だけでなく、心や器もだったという。

「他のわんこに吠えられても『まぁまぁ落ち着いて』と泰然自若。当時、まだ幼かった息子の春太郎が泣けばあやすように涙をなめてくれ、娘の清夏が生まれたときには、母乳が出るほど母性が強い女の子。その優しさに感動することばかりで『この子を幸せにしてあげようなんて気持ちは、奢りだった。幸せにしてもらっているのは、私たちだ』と気づかされました」(真美さん)

そこから、今後犬を迎えるときには、辛い環境にいた子を引き取り、共に幸せになることを決意したという。

まずは保護団体に相談、譲渡会へ足を運んで

真美さんは犬のM基金スタッフの「目利き」力にも感心する。チャタローを迎える際のこんなエピソードがある。

家族で犬のM基金のFacebookに掲載された柴犬たちの里親募集を見ていたときのこと。春太郎くんと清夏ちゃん、そしてお父さんがチャタローに釘付けになる中、真美さんだけは他の女の子に“浮気”していた。翌日訪れた譲渡会でも、真美さんはキャピキャピ寄ってくる意中の女の子が気になり「お母さんはやっぱりこの子がいいなぁ」と口にしていたという。

しかし、犬を迎える上で何よりも大切なのが“先住犬との相性”。ななとその女の子を対面させると、互いがプイッとそっぽを向いた。

そんな状況を見かねたボランティアスタッフが「先住犬が女の子ならば、男の子がオススメですよ。特にこの子、穏やかで本当にいい子なの」とチャタローをプッシュ。

気になるななとの相性も、見事にマッチ。匂いを嗅いだり顔を寄せ合ったりと、互いを受け入れている様子が読み取れた。真美さんは家族から「ほら、やっぱりこの子なんだよ。お母さんたら、本当にもう!」と非難される中、チャタローは福井家の一員となった。

真美さんは「これまでずっと女の子の犬ばかりと暮らしてきたので、正直、男の子を迎える自信がありませんでした。しかし、そんな心配は杞憂に過ぎませんでした。天真爛漫で甘えん坊なチャタローは、常に犬をかまいたい我が家にピッタリ。ななのことを姉のように慕い、いつもくっついて歩いたり、家でのルールもななに教わったようです。家族全員、チャタローとななを目に入れても痛くないほど、メロメロ。

こんな風に犬のM基金さんでは、家族構成や犬と暮らす上での希望、飼育環境などを聞いて、最適な子とのご縁を繋いでくれます。お見合いの達人技は、数々の幸せになった元保護犬と里親さんから得た成せる技だと思います。

犬を迎えることを検討されている人は、まず保護団体に相談したり、譲渡会に足を運ぶことをオススメします」と話す。

これからも、ずっと家族

実は昨年の10月27日、チャタローが姉のように慕ってきたななは、肥満細胞腫を患い、犬生に幕を閉じた。当記事の取材時にも余命宣告を受けていたが、福井さん一家はいつも笑顔だった。その間にいるななとチャタローも、安心した表情を浮かべていた。

「いくら別れを覚悟していたとはいえ、なかなか悲しみから立ち直ることはできませんでした。チャタローもずっと食欲がなく、3カ月ほど、いつものへそ天や大好きなボール遊びをすることがないまま過ごしました。チャタローにとって、なながどれだけ心強い存在だったかわかりません。

寂しさのあまり、チャタローは散歩のときに見かける犬のオブジェや雪だるまにまでしっぽを振って寄っていくようになりました。そんな様子を見て『チャタローに兄弟を迎えてあげたい』という気持ちと『もう一匹犬を飼える環境なのだから、不幸な犬と幸せになりたい』という気持ちで、黒柴の男の子・クロスケを迎えました。

ななとは全く違う存在で、最初は戸惑っていたチャタローですが、いまでは本当の兄弟のようにワンプロをし、楽しんでいます」と真美さんは話す。

来月、ななの一周忌を迎える福井さん一家。そばにはいつも、なながいるという。

「ななは多分、生前よりも大忙しです。娘がレジンでななのお骨の入ったキーホルダーをつくり、家族みんなが持ち歩いているからです。

今まで乗ったことがなかった地下鉄とJRを乗り継いで息子と学校に行き、夫と職場で働き、娘と学校に通っています。もちろんお出かけや、チャタローの散歩にも一緒に行っています。

娘はレジンでななのお骨が入った髪飾りもつくり、毎日そればかりをつけています。元保護犬だったななは、これからもずっと、私たち家族と一緒です」(真美さん)

※掲載までに長らくお時間を頂戴したことを、ご家族のみなさま、関係者のみなさまにお詫び申し上げます。ななちゃんのご冥福を、心からお祈り申し上げます。これからも優しい笑顔で、ご家族を見守っていてください。

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