今回は、このコラムで度々題材にしている「パテラ(膝蓋骨脱臼/しつがいこつだっきゅう)」についてを掘り下げようと思います。
私の自宅の一部を紹介いたします。まずはこの写真をご覧ください。
人間用の階段に、ペット用のスロープを後付けしたものです。足腰に負担をかけず、パテラを予防する目的で設置しました。ただ、我が家ではなぜか主にスロープを使うのはオスで、メスは階段を上り下りしています……。
また、自宅にソファーは置いていません。わんこはジャンプで上り下りしてしまうからです。ベッドも低いものを選んでいますし、少しでも段差を埋めるために、通り道にクッションも置いています。とにかく家中の段差を“フラットにすること”を心がけています。
「気にしすぎじゃないか、過保護じゃないか」と思う方もいるかもしれませんが、それほどパテラは怖い病気です。ところが、知らない飼い主も少なくないのが現実です。
犬の関節疾患で「膝蓋骨脱臼」、通称パテラと言われる病気で、膝蓋骨が正常置から外れることで発症し、痛みや跛行(正常な歩行ができない状態のこと)、さらには関節の損傷を引き起こす可能性があります。
特に小型犬は遺伝し、仔犬の頃から発症することも。徐々に進行して歩行に異常をきたし、まったく歩けなくなるケースもあるのです。
よく遊びでジャンプさせたり、〝芸〟として二足立ちさせている飼い主がいますが、かなり危険な行為であると認識してほしいです。
また「散歩」など、わんこたちのテンションが上がるときも要注意です。私は極力低い姿勢で身支度をしています。もちろんテンションが上がってまとわりついてきますが、私が低い位置にいるため、ジャンプはある程度回避できます。
なるべく足腰に負担をかけないことが大切なので、抱き方によっては、抱っこさえもリスクになります。こちらの写真をご覧ください。
私はこうした抱き方を徹底しています。よくお尻の下を支えて、人間の赤ちゃんのように抱っこされている飼い主がいますが、実は腰に負担がかかり、ヘルニアになりやすいとされています。
わんこと暮らしていれば、愛情表現のスキンシップとして抱っこすることも多いはずですが、知らず知らずのうちに、大切な愛犬に負担をかけているかもしれません。このコラムを見た方は〝今、この瞬間〟からぜひ、実践してほしいですね。
【筆者紹介】
津田 芳典(つだ・よしのり)
1980年札幌市生まれ。大手不動産賃貸会社で7年間勤務後、不動産管理会社に転職。11年不動産管理会社を設立。24年に会社売却し、第二の人生として新たなスタートを切る。愛犬4匹(トイプードル、チワワ)と暮らす。