2021年も残すところ、あとわずかとなりました。今年はみなさんにとって、どんな一年だったでしょうか。蔓延防止や緊急事態宣言が何度も発令し、会いたい人に会えない我慢の年になった人、大切な人や動物を失い、現在もうつむいている人もいるかと思います。編集担当・後藤も、昨年はその一人でした。

以前もわんにゃんハートで記事にしたことがありますが、私は昨年、愛犬のヨーキー・ファーファを亡くしました。札幌市内で突然、ノーリードの犬に襲われ、助けることができませんでした。生後9カ月を目前にした別れでした。

【ノーリードはやめてください】ノーリードの犬に襲われ、愛犬が命を落とした記録
http://oneheart.fun/recommend/fafa/

いまこの記事を書いている私の膝の上には、くぅくぅと小さな寝息を立て、ぬくもりを伝えてくれる存在がいます。今日、12月29日で生後9カ月を迎えたヨーキーのミリーです。今年最後の記事は、愛犬の事故死を経て、もう一度わんこと歩き始めた後藤の一年数カ月をお話させてください。

ファーファの妹が生まれた

昨春、ファーファを亡くしてからは、暮らしに色を失ったようで、何をしていても虚無感でいっぱいでした。どんな形であっても、愛する家族を失った方は、必ず通る道かもしれません。

私の場合はそのトンネルが長く、事故のフラッシュバックから自分を責めては涙が出てきたり、示談が済んでからも、ときに加害犬の飼い主に対し、言葉にならない気持ちが溢れて、なかなか前を向くことができない日々が続きました。

またご縁があれば、わんこを迎えたい気持ちはありましたが、一方で、ファーファに対してどこか申し訳ない気持ちや、比べてしまうのではないかという葛藤、いつか必ずまたやってくる別れに耐えられるのかという怖さがありました。

“人生に犬を”というのは、私自身のスローガンでもありますが、イベントを開催すれば、たくさんのわんこに出会える仕事です。このまま一人の暮らしでもいいのかな…と、現状を受け入れ始めた今年の春。ファーファのお里のブリーダーさんから連絡があり「ファーちゃんのパパとママの子が3匹生まれたよ」と報告を受けました。

命が宿り、無事に生まれてくるのは、一つの奇跡。ましてや小さな身体のヨーキーのお産は、命がけだと思います。こちらの犬舎は道南にあり、ヨーキー専門で、年に10匹も生まれていません。犬ファーストな繁殖と暮らしを心がけている姿勢が、自分の中での決め手でした。

ファーファの弟や妹というだけで愛しい中、ある1匹のつぶらな瞳に、目を奪われました。「初めまして」ではなく、思わず「おかえり」と口からこぼれたのを覚えています。ファーファによく似た女の子、ミリーとの出会いでした。もう一度、あの楽しかった暮らしの続きがしたい、この子を幸せにしたいと思いました。

もう一度、信じてくれたブリーダー

お迎えは、生後3カ月半頃にあたる、7月22日。日に日に暑くなり、世間では東京五輪ムードが高まっていました。札幌から約5時間の道のりのお供は、わんにゃんハートでもお馴染み・湯山カメラマン。個人的にギャラをお支払いし、記念写真も依頼しました。

久しぶりに会うブリーダーさん、兄妹犬のママさん、そしてたくさんの可愛いヨーキーたち。基本的にみなケージフリーで、ゲストが大好き。のびのびとした環境で暮らしているのが伝わってきます。



わらわらと集まるゴールドのヨーキーの中に、ひときわ黒くて小さな子がいました。感激している私に対し「あなただぁれ」と訝しげな視線。

ドラマのような感動の出会いとはいきませんでしたが、忘れられない日になりました。

たくさんのヨーキーたちとわちゃわちゃ触れ合い、楽しい時間はあっという間。札幌に帰る時間がやってきました。

ブリーダーさんはミリーをギュッと抱きしめ、長いキスをしたあと「またファーちゃんのときのように、いろいろなところへ連れて行ってあげてね。ミリーをどうぞ、よろしくお願いいたします」と私に抱かせてくれました。夕陽が射す部屋で、数十匹いるわんこたちはみな大人しく、とても静かで温かい瞬間だったのを覚えています。

幼いファーファを事故という形で亡くしてしまった私を受け入れ、託してくれたこと。きっと内心は、いろいろな不安や心配があったことと思います。もう一度、信じてくださったこと。そのお気持ちや命の重さ、これまでのことを思い返して、涙でぐしゃぐしゃになりました。

そっと見守ってくれていた湯山さんも「やっぱり(ショップなどからの)段ボールでの受け渡しじゃなく、育てた人の手からわんこを託してもらうって、いいもんですねぇ」と目を細めていました。

感極まりながら「責任を持って、大切に育てます」と決意を述べる私に対し、ブリーダーさんが「ところであなた、胸に何枚パッド入れてるの?3枚?」と真顔で質問をしてきたため、この感動的な空気は終了となりました。

ブリーダーさんをはじめ、さまざまな場所から見守り、支えてくださった方々に、この場をお借りして、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

やっぱり、犬がいる人生は良いもの

夏に850gでやってきたミリーは、現在950g。かなり成長がゆっくりな子ですが、毎日小さな身体で喜怒哀楽を伝え、私や家族に幸せを運んでくれています。

やっぱり、犬がいる人生は良いものですね。
しつけで悩み、病気になれば頭を抱え、最期の瞬間には身も心も引き裂かれるよう悲しみと対峙しなければなりませんが、こんなにも真っ直ぐに人を信じてくれる動物は、他にはいない気がします。

この記事は、いまペットロスに陥り、うつむいている人のことも想って書きました。「もう一度、犬と幸せになってほしい」なんて無責任なことは言えませんが、結局のところ、どんな言葉や薬も、犬という存在には、そうそう敵わない気がします。

時間が経ち、いつか心の整理ができたとき、きっといまペットロスで苦しむ人にも、天使がやってきますように。

私は新たな家族ができて、毎日が勉強と癒しです。自分自身や愛犬のリアルな体験をわんにゃんハートにも生かしつつ、一つでもみなさまの笑顔と安全に貢献できるよう、来年も頑張ってまいります。

すべてのわんにゃんと飼い主さまが、幸せな一年でありますように。どうぞ良いお年をお迎えください!







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