犬や猫と暮らす人ならば、誰しもが一度は考える「もしも私がいなくなったら……」という問題。

愛するご主人を失ったペットの精神的な負担は計り知れないが、先に旅立つ者としては、ペットに対し〝できるだけこれまで通りの生活〟を送ってほしいと願う。

ペットの平均寿命は、犬は約14歳、猫は約15歳と年々伸長している(2019年 一般社団法人 ペットフード協会調べ)。

中には高齢者が飼育しており、ペットより先に旅立ってしまうケースもある。

しかし、すべての遺族が飼育を後継できるとは限らない。遺族自らが動物管理センターに持ち込んでいるのが現実だ。

万が一のとき、遺されるペットや故人の想いを守るため、ペット信託「アニライフ年金」を紹介したい。

ペットの一生を〝想い〟で繋ぎ〝法的に〟守る

「アニライフ年金」を立ち上げた「尾崎祐一法律事務所」の尾崎弁護士と、愛犬のメアリー

プロフィール
尾崎 祐一(おざき ゆういち)
昭和34年9月24日 室蘭市生まれ
生後、札幌市に引っ越す。札幌南高校、早稲田大学法学部卒業。
家族は妻と柴犬のメアリー1頭。趣味はクラシック音楽鑑賞。

札幌市の「尾崎祐一法律事務所」の尾崎弁護士は、夫人の文香さんと柴犬のメアリー(♀・7歳)と暮らしている。

尾崎さんは「もしも私たちが先に亡くなったら、遺されたメアリーはどうなるのだろう」と考え、ペット信託の必要性を感じたという。

ペット信託とは、民事(家族)信託の対象をペットに応用したもの。言葉通り〝信じて託す〟もので「柔軟な財産管理の運用」や「望む形の相続」が実現できる。

高齢者がペットより先立ってしまった場合、遺族などの身内が引き取るケースが多い一方で「動物アレルギー」や「ペット飼育不可のマンション住まい」といった理由で、行き場を失うケースも少なくない。

「当然ですが、ペットを迎える上で〝終生飼育〟は絶対条件。我が家も責任を持ってメアリーを大切にし、いつかは見送る覚悟で迎えました。

しかし、万が一、私や家内が先に逝ってしまったら……。我々に子どもはおりません。ご夫婦のみや、お一人でペットを飼われているご家庭も多いことでしょう。自分のことに置き換えて、ペットと遺族を守る『アニライフ年金』を立ち上げました」

こうして昨秋に誕生したペット信託、アニライフ年金。簡単に言えば「飼い主と、飼育費管理者、そして引き継ぐ飼い主との約束ごと」を法的に守る仕組みだ。

基本プラン(148,000円)は下記の通り。

①契約書作成
丁寧にヒアリングし、新たな飼い主の決定、飼育費の確保など、ペットの生活を守る基盤の契約書を作成。完全オーダーメイドで、ペットの一生を守る。

②飼育費専用口座開設
飼育費をほかの財産と分別するため、協力金融機関でアニライフ年金専用の口座を作成。平均余命や持病の有無などをもとに「どれだけ遺したいか」を算出する。先にペットが亡くなった場合には、口座は解消することができ、全額返済される(契約手数料は返却不可)

③ペットの遺贈手続き
ペットの所有権を新たな飼い主に渡すための遺言書を作成。また、ペットの細やかなプロフィール(好きなおやつや散歩コース、受診している動物病院など)を記す「うちの子ノート」も作成できる。

10数ページに渡る「うちの子ノート」

愛犬や愛猫の写真を貼るスペースもある

中ページには、生活や習慣を細かく記載できる

その他、ペットの飼育や契約が守られているかの弁護士によるチェックなど、オプションも用意されている。

飼育放棄される命を減らしたい

今年は新型コロナが蔓延したことにより、若い世代も「死」を意識する機会が増えつつある。そういった背景も重なり、飼い主からの相談件数は上昇傾向だ。

「飼い主の想いを新たな飼い主へと繋ぎ、契約書と遺言書のダブルで、ペットの一生を守ります。

年配になると、大好きな犬や猫との暮らしを諦めざるを得ない方も少なくありません。飼わないことも愛情のひとつですが、ペットは我々に、生きる活力を与えてくれる存在です。

できる限りそばにいて、人もペットも幸せな一生を送ってほしいと考えます。そして飼育放棄される命が、一つでも減ることを願っています。もしも後継者がいない場合には、提携している保護施設をご紹介いたします。

愛犬家兼弁護士として、力になれたら幸いです。気になった方は、お気軽にお電話ください」(尾崎弁護士)

ペットの医療保険加入が一般的になってきた昨今。万が一のときの〝前向きな終活〟として、ペット信託もセットでオススメしたい。

「尾崎祐一法律事務所」

電話/011-376-5715
住所/札幌市南区澄川5条6丁目1-8
HP/https://pet-nenkin.com/

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