連日、SNSでは〝迷子犬猫情報〟が拡散されています。無事に保護され、飼い主と再会できるケースもありますが、残念な形で発見されたり、何年経っても行方がわからないケースもあります。
札幌近郊の場合には現地へ出向くこともありますが、まだその場で保護に至ったことはありません。迷子らしき子の姿を見かけたこともありますが、そのほとんどがパニックになっており、飼い主の声にさえ反応しないことが多かったです。
愛犬猫が迷子になっても、事故が起きても、理不尽な形で命を落としても、残念ながら現在の法律では、行政や警察が大きく動くことはありません。飼い主が率先して、我が子を守るほかないのです。
愛犬猫の命を守るのはもちろん、飼い主自身も悲しい思いをしないため、改めて〝リードやハーネスの大切さ〟を再認識していただきたいと思います。これらは一般家庭だけでなく〝わんこやにゃんこを扱う全業種〟に当てはまることと考えます。取材や撮影会などでさまざまなわんにゃんに出会う当媒体も、一層、気を引き締めてまいります。
下記は「財界さっぽろ2021新年号(2020年12月15日発売)」に掲載した【迷子犬猫捜索&防止策ガイド】の再録です。ぜひご一読ください。
犬猫の推計飼育頭数は、全国で2千万弱(一般社団法人ペットフード協会)。ペットが家族同然となる中、迷子になる犬や猫は後を絶たない。実例から捜索法や防止策を紹介する。
コロナ禍で巣ごもりが増え、全国的に犬や猫を飼う人が増えている。道内でも「販売価格は例年より10万前後高騰しているが、それでも売れる」(大手ペットショップ幹部)という。
楽しいはずのペットライフだが、一寸先は闇。万が一、物言えぬ犬や猫を逃がしてしまった場合、無事に保護できるかは至難の業だ。
迷子になる原因はさまざまだが、犬の場合「散歩中にリードやハーネスが外れる」ことが多く挙げられる。猫はコロナ禍での換気中、網戸を破って飛び出す例もあった。
迷子捜索に長けている道内の保護団体員は「初動が命。特に小型犬は初動24時間が生死を分けると言っても過言ではありません。環境や犬種にもよりますが、室内犬の帰巣本能はそこまで高くないでしょう。交通事故やキツネに捕らわれる前に、一刻も早く保護してほしい」と話す。
捜索はまず、最寄りの保健所、警察、市町村、清掃事務所へ連絡。逆に〝さまよう犬〟を見かけた際も、通報先は上記となる。
次に「目撃情報」がカギとなるため、聞き込みやSNS拡散は必要不可欠。
「数日捜しても見つからない場合、アプローチを広げます。例えば新聞折込、運送業者やタクシードライバーの休憩所に掲示など。コンビニでは、比較的セコマさんが協力的です。とにかく多くの目に触れる必要があります」(保護団員)
潜伏場所に目星がついた場合は、捕獲器や小型カメラも効果的。札幌市内の保護団体や老犬ホームでは、状況次第で貸与してくれるところもある。
ニッチなものでは昨秋、市内でペット探偵に依頼し、保護できたケースもあった。費用は数日で、約80万円。「高額でしたが、命には代えられません」と飼い主は胸をなでおろした。
迷子抑止最大の策は「逃がさないこと」に尽きる。具体的には、定期的な首輪やリード・ハーネスの確認、鑑札(迷子札)、マイクロチップ装着、しつけ(マテ、呼び戻し)が挙げられる。家猫には、破れない網戸や柵の設置が有効だ。
特例として、ペットホテルやシッターなどの業者から犬が逃げ出したケースもある。
昨冬には、市内のトリミングサロンがシュナウザー系ミックスを逃がし、1週間後、無事に保護できた例があった。
飼い主は当時を振り返り「再会できるまでの1週間は、コーヒーしか喉を通りませんでした。リアルタイムで発信できるSNSが功を奏したと思います。一般家庭も業者も〝明日は我が身〟と気を引き締め、逃さない対策を二重三重にしてほしい」と胸中を語った。
迷子捜索はハッピーエンドばかりではない。昨年10月、市内動物病院の運営するホテルでは、散歩中に豆柴を逃がし、事故で亡くなった。
「いくら謝罪や賠償を受けても、愛犬は返ってきません。二度と悲痛な思いをする犬や家族が出ないよう、安全対策の徹底を」と飼い主は訴える。(後藤)
※ノーリード事故についての記事はこちら
・【ノーリードはやめてください】ノーリードの犬に襲われ、愛犬が命を落とした記録
http://oneheart.fun/recommend/fafa/
・【ノーリード、脱走】に細心の注意を。犬に襲われて亡くなったチワプーの飼い主が語る「すべての飼い主へ、責任を持って」